[第一回] 相横歩取りハメ手定跡

コンピュータ将棋

相横歩取りとは

横歩取りと呼ばれる戦法で最も激しい変化になりやすい手順の一つ。

後手が手損をするために先手有利と言われているが、複雑な変化が多く一手のミスで形勢が逆転するので、アマチュア間の対局では研究次第で後手も十分に戦えると考えられています。

相横歩取り基本形

この基本図から先手が何を指すかがポイントなのですが、最もよく指される五つの変化についてそれぞれのハメ手を紹介しようとおもいます。

☗5五角打に対する応手

一見すると後手が香車の両取りを掛けられて困っているように見えますが、ここで☖2八歩と打つのが定跡でなんと後手優勢なのです。

え、なんで後手優勢なの!?

このあと、お互いに取る駒と取られる駒を考えてみるとわかるよ。

仮にお互いにノーガードで駒を取り合ったとすれば以下のように進行します。

  1. ☗9一角成
  2. ☖2九歩成
  3. ☗8一馬
  4. ☖3九と
☖3九とまで

このとき、先手は香車と桂馬をとっているのに対して後手は桂馬と銀を取れています。銀の方が香車よりも一般的に価値が高いので、後手の方が駒得しているわけですね。

将棋の形勢判断の一つがこの駒得で、局面が落ち着いてこれば駒得している方が基本的に勝ちます。

しかも、ここから更にノーガードを続けたとすると、

  • ☗7一馬
  • ☖4九と(王手!!)
  • ☗同玉

と、後手の方が先に王手をかけることができます。王手には必ず応じなければいけないので、先手はそれを無視した☗6一馬のような手が指せないのです。

☗4九玉まで

さてここで局面を見てみると、後手は馬を取れますし☖2九飛打といった手で後手に駒を使わせることができるので(使わないと詰んでしまう)これは後手勝勢です。

☖7一金まで

今回は実際にはありえないようなお互いにノーガードで攻め合う手順を進めましたが、お互いに守りに重点をおいたとしても後手が有利なのは変わりません。

なんで!?

それは、後手の攻め駒が「と金」だから。と金で駒を取るほうが「馬」で駒を取るよりも価値が高いんよ。

実践的な進行

先手はノーガードだと負けてしまうことがわかったので、☖2九とに対して一度☗4八銀と避けることにしました。

☗3八銀と避けると☖2八とと引かれて銀が取られる格好になるので逃げるなら☗4八銀の一手。

そこでじっと☖3八歩と歩を垂らすのが「垂らしの歩」の手筋。

☖3八歩まで

タダやん!

一見するとタダの歩なのですが、先手はこれを取ることができません。もしも☗同金ととってしまうと、

  1. ☖3八歩打
  2. ☗同金
  3. ☖2六桂打
  4. ☗2七金
  5. ☖3八桂成

と、王様を守らなければいけない金がどんどん離れていってしまう上に成桂をつくられてしまいます。これは次に☖4九飛打とされると寄り形ですし、かといってそれを受けるような手もありません。なのでこの局面を後手必勝なのです。

歩をとってみる

☖2五歩まで

ここまで先手が不利になったのは☖2八歩を無視して角を成ったことでした。

角はいつでも成れるんだから歩をとっちゃうのはダメなのかな?

と、当然考えたくなるのですが☗2八銀と応じるとこれは☖2五飛打の銀と角の両取りがかかって一気に後手勝勢です。

☖2五飛打まで

角を取られてしまうと全く攻めがないので、☗1九角成とするしかないのですが、☖2八飛成が銀をとりつつ7九の金が取れる形になっているのが厳しすぎます。

☖2八飛成まで

これは、2八の歩を取らなければ取られるのが桂馬で済んだ+飛車成りが金取りにならなかったので、歩をとってしまったがために相手の攻めが強烈になったしまった最たる例でしょう。

どの順でも先手が芳しくないので、この手順は後手が有利というわけです。

まとめ

5五角を二分で復習

☗4六角打に対するハメ手

さて、☗5五角打とすると先手が良くないのがわかったので、それを知っている人は当然☗5五角とは打ちません。

そこですこしひねった手がこの☗4六角打で、この手順は正しく指せば先手が有利とされています。もちろんそれは読みがものすごく深いプロの先生やコンピュータソフトのはなしであって、対アマチュアであればいくらでも逆転させられる起死回生の一手があります。

  1. ☗4六角打
  2. ☖8二歩打
  3. ☗8三歩打
  4. ☖7二金
☗8三歩打まで

この8三歩打はとってしまうと香車を取られるので☖7二金の一手です。

先手の狙い

この☗4六角打の直接的な狙いは当然☗9一角成と香車を取りながら馬をつくる手順です。ただ、これを受けるのが実は意外と難しくて、☖7七角打と合わせるような手は最悪で、以下のように進行して先手勝勢です。

  1. ☖7七角打
  2. ☗同角成
  3. ☖同桂
  4. ☗5五角打
☗5五角打まで

あれ、この☗5五角打は☖2八歩打で後手が有利だったのでは?っという方は要注意!章末のまとめでなんでこの手がダメなのか説明します。

8筋の攻防

先手はひたすら8筋を攻めて☗1九角成を目指してきます。

  1. ☗4六角打
  2. ☖8二歩打
  3. ☗8三歩打
  4. ☖7二金
  5. ☗8二歩成
  6. ☖同銀
  7. ☗8三歩打
八筋からひたすら嫌味をつけられる

これもやはり☖同銀とはとれないので、☖7七銀か☖同金のどちらか。どちらにしても実は先手が少し指せる。

将棋用語での「指せる」というのは手詰まりでなく、指す手の候補がいくつかあって「悪い状況ではない」といった意味があります。

4六角は先手優勢か?

ハメ手☖6四歩

☖8二歩打とすると先程の手順で8筋を攻められるので、その対策としてハメ手を用意しました。

ハメ手☖6四歩まで

一見するとタダの歩なのだが、取ればやはり☖2八歩打から角と銀の両取りの手順が成立する。

ただ、☖2八歩を手抜かれたときに先手の角が単に☗5五角打とした場合に比べて☗5三角成とするような手もあるため、後手がはっきり良いというわけではない。

☖2四飛打まで

よくある手順

この両取りの筋を知っている人はこの誘いの歩を取らずにじっと☗8三飛打と指してくる場合が多い。当然これは次の☗8一飛成が狙いなのがバレバレなのだが、ここはじっと☖8二歩打と受ける。

  1. ☗4六角打
  2. ☖6四歩
  3. ☗8三飛打
  4. ☖8二歩打
  5. ☗5三飛成
  6. ☖8二歩打
    • 5四龍(疑問手)
    • 6四龍(最善手)

☖6四歩と突いてしまっているので、☗5三飛成が王手になってしまうのだが、これもじっと☖5二歩打で受ける。

狙いの☖2七角打まで

この☖2七角打が龍取りにあたっていればなお良いのだが、そうでない場合でもこの☖2七角打はいつでも切り札になります。

先手が受けてこれば☖4五角成としてまずまずの戦いです。

そして、先手が最もやりがちなのが☗2四龍のように角と桂馬の両取りをかけてくるような手です。これにはバッサリと角を切ってしまいましょう。

  1. ☖2七角打
  2. ☗2四龍
  3. ☖4九角成
  4. ☗同玉
  5. ☖6九飛打

この☖6九飛打が狙いの一手で、後手は駒がないので上手く受けることができません。

まだ後手がはっきりといいわけではないですが、自分の研究手順に持ち込めているので後手も十分指せると思います。

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