QR切符は必要か?

QR切符が実験段階にあるらしい

現状の磁気乗車券を廃止して、QR乗車券とIC(SuicaなどのFelicaと呼ばれる規格)にしようという試みである。

まず最初に断っておくと、磁気乗車券の廃止には大いに賛成である。どうしても改札に物理機構が必要である以上、故障リスクは避けられないし詰まったりもするし、IC改札よりもメンテナンスコストが掛かるのはまず間違いない。

QR改札であれば切符にQRコードを印刷しておいてそれをスキャンして磁気乗車券の代わりにしようというものである。

現在のスキャナの精度はいいので、誤認識も殆ど起こらないだろうし物理機構がないので故障とは基本的に無縁である。

各仕様の違い

QRとIC改札の違いはぶっちゃけてしまうと発行のコストがどのくらいかかるかということになるだろう。

磁気QRIC
発行コスト
改札メンテ
券売機メンテ
精算機メンテ
新規開発費

Suicaなどは一度購入すると自動的に1600円がチャージされ、400円がデポジットされる。

この400円は実質的にはカード代みたいなものなのだが、個人でもFelicaが一枚200円程度で買えるので、まさかあれだけ大量に発行しているSuicaの一枚あたりのコストが100円ということはあるまい。

まあここでは多めに見積もって100円としよう。

対してQRは改札自体のメンテナンスは不要だが、切符を発行するというシステム上インク代とか紙代とかがかかってくる。こんなものは微々たるものだが、まあ切符一枚にもろもろ全部合わせて1円くらいはかかっているのではないかと思われる。

仮にこの仮定が正しいとすると、ICは最初の一回しか発行が必要でない関係上、百回電車に乗ればICの方が発行コストでは安上がりということになる。

が、短期ビジターがこんなに電車に乗るとは思えない。三泊四日で毎日電車に乗ったとしてもどんなに多くてもせいぜい二十回程度だろう。

なので、メンテナンスコストを削減するためにQR乗車券を磁気乗車券の代替として利用するのは全く問題ないと考えます。

白熱する議論

以下、こうほうさんとのQRとIC議論の大まかな内容。

ICカード製造コストについて

(QR導入よりも)日本ではICカードを買うものだということを普及させたほうがいいのでは?

ではそのICカードを製造するのにはどの程度コストがかかるのでしょう。在留者はともかくとして、旅行者向けに大量の高コストなFeliCaチップを製造するよりは、QR改札を研究開発して普及させた方が最終的にはコストが安くなると思いますが。


利用者側からしたらQRを導入する手間もICを購入する手間もほとんど変わらないのだから毎回ICを発行してはいかがかという話ですが、それこそ馬鹿みたいにコストがかかるので到底やってられません。

利用者側が毎回ICを発行して何故馬鹿みたいにコストがかかるのですか? 何度もくるような人なら一度発行して持っておけばいいし、一回しか来ないとしても(チャージ残高が残っていても)せいぜい1000円か2000円程度しかかからないと思うのですが…

ここは若干認識のズレがあって、発行コストなんて考える必要がないと思うんですよね。なぜなら仮にICカードの発行コストが10000円だったとしても、それしかなければ利用者はそれを買うしかないんですから。

10000円のものを10000円で売っているのでJR(ここではJRに限定する)は痛くも痒くもありません。

もちろんこの場合は、ビジターが10000円のものを買わないといけないという点で負担は大きい。

実際には先程述べたようにSuicaは2000円分買うと1600円がチャージされるという仕組みですので、仮に全く使わなかったとしても2000円しか損をしません。

つまり

  • Suicaの原価がいくら高くても、買ってもらえるのであればコストは0。
  • Suicaの発行手数料はどれだけ高く見積もっても(2000円-1600円)の400円。
    • これがビジターの負担になるとは思えない。
    • しかもこの400円はカードを返却すれば返金される。

要するに、どれだけ大量にICを発行しても、使ってくれるならJRは全く損をしません。なので、ICは一枚あたりの単価が高いので発行すると損失を生むというのはミスリードだと思います。

ただ、このカード返却による返金システムがやっかいで、これがあるとタダでICカードを利用できてしまうことになります。中国みたいに一度使ったカードを再利用はしないと思うので、廃棄ないしはそれに準ずる扱いになると思うのですが、こうなるとJRは損をします。

が、問題はこのシステムをどのくらい利用するかということに依存します。全員が全員返金すれば大損ですが、そうはならないと思います。なんなら、ビジター向けの一時利用カードはデポジット返金不可(こうなるともはやデポジットではないが)でいいんじゃないかと思います。

仮にそうしたとしても400円でケチケチするような人はいないでしょう。

ランニングコスト

この仕組み(QR改札)が完成して、これが普及すれば確実に改札のランニングコストは下がります。ICとQRだけにして磁気券を廃止してしまえば紙詰まりに悩まされる事もなくなります。

これに対してはツイッター上でリプライを返す暇がなかったのであるが、大いに同意できる。磁気券廃止には大いに賛成。

確かにQRはFに比べると処理速度は遅いです。しかしランニングコストが安価である事(利用者側に至ってはほぼゼロ)、機器の性能向上である程度は速度向上が見込める事を考えれば、十分に期待できるものと言えましょう。

FとはFelicaのことである。

さて、ランニングコストが安価というのは改札だけのことを言っているのだと思うが、それはICも同じことなのでQRだけの特権ではない。実際には券売機が必要なのでICよりもQRの方がメンテナンス(ランニング)コストはかかるはず、微々たるものだろうけど。

処理速度に関しては技術向上でFelicaと遜色ない速度は出せると思います、これには同意。

もしも現状のQR決済のようにスマホで使えるようにすればランニングコストは更に下がりますが(システムメンテナンスは必要だが、それはIC決済も同じこと)、ここで今までの流れをおさらいしてみましょう。

ここまでの流れ

  • 磁気乗車券はメンテナンス費用が大きくかかる
  • QRシステムなら改札メンテナンスは大きく減る
    • ICと同等の速さで処理できることは十分見込める
    • ICではかからない券売機のコストが掛かるが、改札に比べると微々たるレベルでは
  • スマホで使えるようにすればオンラインサービスを別途立ち上げる必要あり
    • オンラインサービスのランニングコストはICのそれと変わらないレベル

仮にQRの特徴がこれだけだとしたら、今のICシステムに比べて明らかなメリットが一つもないと思うんですよ。上で述べましたが、発行コスト製造コストとかはあまり考える必要がありません。

ICを発行するたびにJRに大きくコストがかかることもなければ、利用者がIC導入に大きくコストがかかることもないからです。

もちろん、400円のスイカを10万枚発行すればその時点で4000万円JRは損をします。もしも誰も買ってくれなければそのまま赤字になる点は注意。

オンラインサービスもQRとICの二つがあれば二つ運用しなきゃいけないわけです。これがICだけなら一つだけ考えておけば(もちろんサーバの強化が必要になるがそれは些細な問題)いいわけです。

日本には既にICが普及している

このQR乗車券のシステムに全く賛成できません。

QR乗車券のシステムが悪いというのではなく、既にIC乗車システムというものすごく便利なシステムが完成している以上、わざわざ導入する価値が見いだせないのです。

「磁気乗車券廃止してQR切符に対応」なんてするより「IC一本化します」でなったく問題がないように思われるんですよね。逆に、IC一本化での問題ってなんでしょう?システムダウン時に電車が使えなくなることはある種の問題かもしれませんが、どうせ二重三重でバックアップが動いているので大丈夫でしょう。

今まで一度も大規模なシステムダウンに伴う混乱が起きていないので、そこまで心配する必要はないかと。それこそ、IC運用においてここにJRは最もコストをかけていそうな気がします。

海外のICとの違い

実は日本以外の国でもICシステムは使われています。ただ、使ってみればわかるのですが、読み取りにかかる時間が全く違います。

東京のような人がたくさんいるようなところでは読み取りにかかる時間が長すぎるとこれでは全く役に立たないんですよね。その点、一秒以内に非接触でデータ通信が行えるFelicaは素晴らしい規格だと思います。

が、その分精密な仕組みになっていてどうしても普通のICと比べて原価が高くなってしまうため、海外の他の都市では「一秒以内に通信ができる」というメリットの魅力が全く活かされずに普及しませんでした。

どこでも使えるFelica

「海外ではどこでもクレジットカードが使える」とは言いますが日本も「どこでもSuicaが使える」と言い切っても過言ではないでしょう。

もちろん、個人経営などの店舗ではまだまだ使えないところが多いですが、ビジターがいくようなところであれば基本的にどこでも使えます。

ビジターにFelicaを買わせる方法

一番の問題はこれでしょう。どんなに便利でも買ってくれないのでは意味がありません。

例えば、駅でしかSuicaを販売しない現在のスタイルでは多くの観光客が戸惑って駅で頻繁に混乱が発生する可能性があります。これでは本末転倒です。

そこで、空港で大々的にSuica販売を行うのがベストではないかと思います。これを買えば日本のほとんどの交通機関がキャッシュレスで乗れると宣伝すれば買ってくれると思います。

Suicaのチャージ限度額は20000円ですが相当遠出でもしない限りこれで十分足りるでしょう。

空港にチャージ済み(3000円、5000円などユーザが選択できるのがベター)Suicaをクレジットカードで買えるような自動販売機を置いておくのがいいのではないかと思います。SIMカードの自動販売機だってあるのですから、Suicaでできないことはないでしょう。

空港限定モデルで日本の風情を感じさせるデザインにしておけば帰国時にデポジットを払い戻しせずにそのまま記念に持って帰ってくれるかもしれません。こうなれば発行手数料100円(これは高めに見積もっている)のものが400円で売れたというのと同じなのでまるまる300円が儲けになるわけです。

極論、空港限定モデルは払い戻し不可(チャージ分は返金可)でもいいかもしれないですね。ビジターからすれば高々400円ですし、この程度の金額を気にする人はいないはず。

まあそれを抜きにしても例えば空港独自でいろいろなデザインを採用するは十分アリだと思います。日本人でもぼくみたいにコレクター精神のある方は集めるのが楽しいですし。

まとめ

IC未開拓の新しい決済システムとしてQR支払いは十分利用価値がある。

が、ICが高度に普及している日本で導入の意義が見いだせない。ICへの一本化でどんな不都合があるのか今のところわからない。

記事は以上。