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横歩取り4五角戦法は滅びた!?

テラショック定跡

テラショック定跡とは今までの定跡を少し発展させた定跡である。

詳しくは以下の記事でリンクしているやねうら王氏のHPを見ていただきたい。

要するに「ある指定局面XからN手先の複数の局面(4^5=1024局面くらいが採用されることが多い)から深さ36(または30や24など)で読んだ結果、どんなに悪くても評価値Yの局面に到達できるとき、その指定局面Xの評価値をYとするのがテラショック定跡である。

MultiPV4などが慣習的に使われるので、一手先を読むごとに計算量は四倍になる。

まさに電気代と時間を死ぬほど浪費する定跡なのである。

ただ、その精度は極めて高くテラショック定跡で十分に試行時間をかけて完成した定跡をひっくり返すのは検討ソフトのレート+500くらいあるソフトでもなかなか難しいだろう。

以前の記事でぼくが行なったのは、先手の緩手を後手に咎めさせる「ミスを誘う局面に持ち込んで逆転させる手順を探す」という趣旨であったが、今回は横歩取り4五角戦法について「両者が最善と思われる手を指し続けるとどうなるのか」について研究してくださった方がいたのでそれを紹介する。

4五角テラショック定跡

さて、今回@tibigame氏が4五角戦法を含む横歩取りの急戦策についてテラショック定跡の研究成果を発表された。

当記事では結果しか書かれていないので、まずは4五角戦法がどんなものなのかを簡単に説明し、改めてテラショック定跡の内容について触れていきたいと思う。

4五角戦法とは

さて、横歩取り4五角戦法は後手が基本的には一方的に攻める展開になる作戦である。

横歩取り4五角基本図

☖4五角と打つ前に☖2八歩と叩いてから☗同銀ととらせるのが必要な一手。

これを忘れると☖4五角に☗2四飛で、桂馬取りを防ぐために☖2三歩と打てば☗2八飛と下がられて☖6七角成に☗同金とさせても飛車で紐がついているので☖8八飛成とできなくなってしまう。

先手の返し技

この☗7七角が用意の一手で、これを指せば先手がさせると言われている。

そのためプロの公式戦ではもうほとんど4五角戦法がでてくることはない…かなしい…

飛車を取り合った局面は後手が駒得しているものの、いつでも馬で桂馬をとる手があるので実質的には持ち駒が多く馬をつくっている先手が有利。

ここで後手は急いで攻めないとどんどん駒を取られて損が続いてしまうので、攻める手が必要です。

ここで後手から考えられるのは☖8七銀と☖7七桂です。

一見すると☖8七銀はタダのようですが…

☗同金と取らせてから飛車を打ち込むのが手筋。

どう受けても次の☖8九飛成か☗7八飛成が金取りの先手になります。

飛車打ちを避けて☗7九金と引けば☖6七角成で桂馬取りに当てつつ馬がつくれます。

一見すると先手が困ったかに見えますが、ここでの好手が馬を自陣に引きつける☗7七馬!

☖7八銀成とすれば☗同馬でスッキリしてしまって攻め手を欠きますし、かと言ってこのままでは銀が取られてしまいますがここで好手があります。

7六銀不成!!

それがこの☖7六銀不成で、☗同馬とすれば☖2六飛と打って銀と馬の両取りがかかります。

なので先手もこれをとれず、☗6八馬と馬を玉に引きつけます。

ちなみに銀を成らないのは、成ってしまうとどこかで☗2八歩 ☖同銀 ☗8五飛のような手が生じてしまうためです。

これはすぐに決着がつくという進行ではありませんが、ソフトで検討すると先手がやはり+500ほど有利な局面のようです。

テラショック定跡の見解

テラショック定跡によれば後手の最善はやはり☖8七銀のようだ。

ただ、ここで先手は☗同金と応じるのが良いらしい。

人間的には後手の攻めがしばらく続くので怖い変化だが、ソフトは後手がどんな攻めをしても受けきれると読んでいるわけである。

この辺りは流石ソフトという感じがする。この指し方がプロに定着するのはプロ間でもっと研究が進んでからだろう(まあそもそもこんな研究結果がでてしまえば後手が4五角を指さない気はするが)。

では☗同金と取ってから後手の攻めをどうやって受けるのかというと、次のような手順らしい。

☗同金 ☖7九飛 ☗6九香 ☖6七角成 ☗5八銀 ☖8九馬

恐るべき手順である。

持ち駒を使わされた挙げ句、いつでも3三桂と跳ねて馬を閉じ込める手がある中でこれで先手+637で有利というのだから恐ろしい。

先手をもって受けきれる自信がまったくない(笑)

まとめ

今回、tibigame氏の定跡によって4五角戦法はソフト同士の戦いであれば滅びたと言って良いだろう。

ソフト同士の対局では一方に+600ほど傾いた局面から逆転することは殆どないからだ。

4五角戦法のように一方が攻め急がされる展開で一直線な変化の戦法はテラショック定跡によって次々に淘汰される可能性が高い。

次はどの戦法がテラショック定跡という大海に飲み込まれるのか、少し興味深いところではある。