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将棋における必至・詰み・MATEとは?

詰みの概念

将棋における勝利条件とは相手の玉を詰ませることである。

ただ、実践においては詰みが発生するよりも前に「即詰み」・「詰めろ」・「必至」・「MATE」といった状況になる場合が多いです。

本記事ではそれぞれの用語について解説していきたいと思います。

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即詰み

こちらの手番で相手の玉に連続で王手をかけて最終的に詰みの状態に持っていけるのであればこちらの勝利である。

その状態のことを「即詰み」であるという。

手順をしっかりと読み切れるのであれば、即詰みの状態となった段階で手番のプレイヤーが勝利となる。

頭金での代表的な即詰み

即詰みは詰将棋問題と同じであるということもできる。

代表的なのは上図のような頭金の形であるが、様々なパターンがあるので即詰みになりやすい形は覚えておく必要がある。

予備知識であるが、情報理論的には一般化詰将棋はPSPACE完全という問題のクラスにわけられる。

PSPACE とは計算複雑性理論における複雑性クラスの一つ、Polynomial SPACE の略である。

PSPACE とはチューリングマシンによって多項式領域で解ける問題、すなわち使用するテープの長さが問題のサイズの多項式で収まる決定問題のクラスのことである(処理にかかる時間は問わない)。

https://ja.wikipedia.org/wiki/PSPACE

詰めろ

詰めろとは相手が受けなければ次にこちらの手番で詰みになる状態のことを指す。

詰めろと即詰みは局面は全く同じで、手番がどちらにあるかだけの違いしかありません。

☗5二金打までの詰めろ

例えば先程の即詰みの局面は、手番が後手であれば「即詰み」ではなく「詰めろ」の状態となる。

詰めろの状態のとき、一般的に「(次の即詰み手)までの詰めろ」と呼ばれる。

この局面は次に☗5二金打で後手玉が詰むので「☗5二金打までの詰めろ」と呼ぶわけである。

後手は詰まされないために、例えば☖6二玉と指すようなことが考えられます。

☖6二玉で詰めろを解除

こうすれば次に☗5二金打とされても☖6三玉とどんどん上部に脱出できるので、後手玉は詰みません。

相手に詰めろをかけられた場合の対応は次の三つしかありません。

受ける手を指す

最も一般的な詰めろの解除方法です。

最終盤でない限りは、受けの手を考えて指すのが基本的な手順です。

相手の玉を詰ます

次にこちらが詰まされる格好だとしても、先に相手玉を詰ませてしまえば勝ちになります。

投了する

受ける手はあるものの、受けてしまうと持ち駒不足でとても逆転は望めない場合には投了するのも潔い手です。

必至

必至とはどのように受けても詰めろが解除できない詰めろのことを言います。

受けが効かないので、詰めろよりもより強い概念だと言えます。

典型的な必至

この局面は先手の手番であれば☗2二金打までの一手詰めなので即詰み状態です。

よって、後手の手番であれば「2二金打までの詰めろ」ということになります。

このとき、後手にはどのような受けがあるでしょうか?

2二の地点に金を打たれては困るので、それを防ぐ手が当然考えられます。

しかし、横に動けない駒を打ってしまうと☗3二金打のような形で意味がないので、横に動ける駒である金か飛車を打つ必要があります。

☖2二銀は受けにならない

では、仮に☖2二金と受けた場合を考えましょう。

☖2二金まで

初級者にありがちな悪手として、ここで☗同銀成として金をとって王手をかけてしまうものがあります。

これは大悪手で、☖同玉とされるとお互いの盤上の駒を精算してしまって自分の駒だけがいない格好になるので攻めが継続できなくなります。

後手必勝形

ではどうすれば良かったのかというと、☗3三桂打とタダのところに桂馬を捨てる手です。

☖同金とすれば2二の地点が空いてしまうので☗2二金打までの即詰みです。

よって、☖同金とすることはできません。

☗4一金打まで

☖3一玉と逃げるのは☗4一金打までの一手詰みで、☖1一玉と逃げるのは☗2一金打と打ち込んで、☖同金 ☗同桂成 ☖同玉 ☗2二金打までの即詰みです。

☗2一金打まで

他にもいろいろ受けは考えられますが、どのような受けをしてもやはり☗3三桂打と☗2二金打と☗2三金打からの即詰みの手順が解除できません。

よって、受けが一切効かない詰めろなので、この状態を必至と呼ぶわけです。

MATE

コンピュータ将棋に詳しい方なら知っていると思われるMATEの概念について説明します。

多分、これちゃんとわかっている人はすごく少ないと思います。

MATEの定義について

やねうら王さんがブログで詳しく解説されているのでご一読ください。

まずはMATEが表示されうる局面を考えて、それぞれMATEがどんな意味を持つか考察してみましょう。

MATEは即詰みではない

MATE 3の一例

例えば、上図のような局面では多くの将棋ソフトはMATE 3もしくは先手勝ち(詰み 3手)と返します。

現在先手の手番ですが、これは即詰み(三手詰み)ではありません。

ただし、☗5三銀打と指せば後手玉は必至になります。

一手指せば一手詰めの必至になるので、これは一手必至問題です。

三手必至ではないことにご注意ください。

後手玉はどこに逃げても頭金で詰みなので、「一手必至」+「後手の応手」+「一手詰み」で合計三手というわけです。

MATE 5と表示されても、五手詰みがあるわけではない!!

ということをしっかりと覚えておきましょう。

MATE以上の手数の即詰みがある場合もある

MATE 3の一例

例えば、上図のような局面では多くの将棋ソフトはMATE 3もしくは先手勝ち(詰み 3手)と返します。

これは確かに先ほどと同じように☗5三金打などのような手から一手必至がかかるのですが、正しい指し手でしょうか?

というのも、☗5二金打と金を捨てておけば☖同玉 ☗5三金打からの五手詰みの即詰みがあるからです。

五手詰みがあるのに何故MATE 3なのでしょうか?

それは、コンピュータは☗5三金打として先手玉に詰みがないことを読み切っていて、より手数の少ない三手必至を優先的に考えているためです。

MATE 5と表示されても、七手詰み以上がある可能性がある!

ということを覚えておきましょう。

MATEは無意味な捨て駒を考慮している

この局面のMATEは?

さて、この局面のMATEはいくつでしょうか?

五手詰めがあるのでMATE 5と表示されそうですが、☗5三金とすれば一手必至がかかるのでMATE 3が優先されるかもしれませんね。

実は、この局面のMATEは5です。

「一手必至がかかるからMATEは3じゃないの?」と思った方は、後手の持ち駒を見てください。先ほどとは違って一歩あるのです。

もちろん、歩が一枚あっても必至は解除できません。しかし、☗5三金は以下の手順で詰みまでの手数が伸びてしまうのです。

☗5三金 ☖5八歩打 ☗同玉 ☖6一玉 ☗6二金打まで

つまり、意味もない歩のたたきで手数が伸びてしまうわけです。

歩が五枚あれば一枚につき二手伸びるので十手伸びる計算です。

MATE 7の局面

上図の局面は次に☗5三金で一手詰めの必至がかかりますが、金の枚数が先程より一枚少ないので即詰みはありません。

この局面はやっぱりMATE 3と表示してほしいのですが、実際にはMATE 7と表示されます。

MATEとは

なんだかわかりにくくなってしまったが、MATEの意味するところは簡単である。

やねうら王さんの言葉を借りるのであれば「MATE Nというのは最長でもN手で相手の玉が詰む」ということである。

ところが、やっぱりユーザ側としてはそのMATE Nが即詰みによるものなのか、必至+相手の無駄な捨て駒込みの手数なのかは知りたいものである。

さいごに

実はプロ棋士が解説でよく言う「受けなし」や「ほぼ必至」などについてもいろいろ解説したかったのだが、あまりに長くなりそうなので今回は単純な必至の解説と、MATEの定義についてにのみ解説しました。

それにしてもやねうら王さんの記事は本当に勉強になります。

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