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本当に京大!?入試問題を解く

2005年文系数学大問4

[mathjax]
\[
a^3-b^3=65
を満たす整数の組
(a,b)をすべて求めよ。
\]

とてもシンプルな問題です。

京都大学ときくとなんだか難問奇問のイメージが先行してしまいがちですが、この問題は実は中学生でも解けます。

少なくとも難関私立を受験しようとしている人なら半数くらいは解けるんじゃないでしょうか。

解法

中学生でもわかるように丁寧に解説を書いていたらとんでもなく長くなりました。

まず、左辺の

[mathjax]
\[
a^3-b^3
\]

に注目します。

中学生では二次式の因数分解は習いますが、三次式に関しては学校で習いません。

ただ、習わないのですが難関私立であればこの程度の因数分解は出題されます。

高校生であればすぐにこれが

[mathjax]
\[
a^3-b^3=(a-b)(a^2+ab+b^2)
\]

と因数分解できますが、どうやって中学生はこれを因数分解するのでしょうか?

因数分解の予備知識

因数分解について中学生が最低限知っておかなければいけないのは、

[mathjax]
\[
xに関する整式Qの解の1つがx=aであれば、Qはx-aで割り切れる。
\]

ということです。

ぼくは数学があまり得意でないので表現が間違っていたらご指摘ください。お願いします。

また、以下のように言い換えることもできます。

[mathjax]
\[
Qがx-aで割り切れるのであれば、Qにx=aを代入すると式の値が0になる。
\]

わかりやすさのために正確性を犠牲にしましたが、これで伝わると嬉しい限りです。

[mathjax]
\[
x^2+5x+6=(x+3)(x+2)
\]

例えば上の式の因数分解は中学三年生であれば問題なく行うことができ、解がx=-2, -3であることはすぐにわかります。

そこで実際に左辺にx=-2と-3を代入してみましょう。

[mathjax]
\begin{alignat}{2}
(-2)^2+5\times(-2)+6&=4-10+6=0 \\
(-3)^2+5\times(-3)+6&=9-15+6=0
\end{alignat}

このように成り立つことが確認できました。

#例題

では、上で学んだことを実際の問題で利用してみましょう。

[mathjax]
\[
x^3+x^2-3x+1=0を因数分解せよ。
\]

例えばこのような問題がでたとき、どう考えるべきでしょうか?

まず、この式が因数分解されたときの形について想像します。

[mathjax]
\begin{alignat}{2}
x^3+x^2-3x+1&=(x+A)(x^2+Bx+C) \\
&=x^3+(A+B)x^2+(AB+C)x+AC
\end{alignat}

すると、きっとこんな形に因数分解されるんじゃないか?という “予想” ができます。

もしこれが正しいならば、左辺の “1” の項は右辺のAとCの積でしかあり得ないので、

それ以外の項はxがかけられているので定数になりません。

[mathjax]
\[
AC=1
\]

ということが予想できます。

これを満たすACのペアは整数の範囲内であれば、

[mathjax]
\[
(A,C)=\{(1, 1), (-1, -1)\}
\]

のどちらしかあり得ません。

たった二通りしかないので代入してしまえば、

[mathjax]
\begin{alignat}{2}
(-1)^3+(-1)^2-3\times(-1)+1&=-1+1+3-1=2 \\
1^3+1^2-3\times1+1&=1+1-3+1=0
\end{alignat}

x=1を代入したときに式全体の値が0になったので、与えられた式が(x-1)で割り切れることがわかります。

よって、

[mathjax]
\[
x^3+x^2-3x+1=(x-1)(x^2+Bx+C)
\]

の形に因数分解できるはずで、あとは文字式の割り算をすればもう一方の式が求められます。

[mathjax]
\[
x^3+x^2-3x+1=(x-1)(x^2+2x+1)
\]

因数分解

では、実際に先程の京都大学の問題を因数分解してみましょう。

[mathjax]
\[
a^3-b^3=0
\]

もし、右辺が0だとすればこのような式になります。

この式がaに関する三次式だと考えます。

この場合、a=bであれば式全体が0であることは明らかです。

よって、この式は(a-b)で割り切れるはずで、

[mathjax]
\[
a^3-b^3=(a-b)(a^2+A+b^2)
\]

のような形で因数分解できるはずだと予想できます。

このとき、右辺に関しては正確にどんな形になるかは予想できなくても問題ありません。

大事なのは(a-b)で割り切れることに気付くかどうかです。

[mathjax]
\[
a^3-b^3=(a-b)(a^2+ab+b^2)
\]

文字式の割り算を行えば、上のように因数分解できることが確かめられるはずです。

右辺はこれ以上因数分解できません。

整数問題

ここまでできれば中学生としての因数分解の知識は十分だと言えます。

高校生ならばこの先が解けなければいけません。

さて、与えられた式が、

[mathjax]
\[
a^3-b^3=(a-b)(a^2+ab+b^2)=65
\]

となるところまでは確かめました。

これだけだとやはりとっかかりにくいかもしれませんね。

さて、ここで以下のように文字を置き換えます。

[mathjax]
\[
A=a-b, B=a^2+ab+b^2とする。
\]

すると、先程の式は次のようになります。

[mathjax]
\[
A \times B=65
\]

こうすればどうでしょう、なんとなく解けそうな気がしてきませんか。

細かい解説は省きますが、a, b共に整数なのでA, Bも必ず整数になります。

つまり、ここまでをまとめると最初の問題は次のように “言い換え” ることができます。

[mathjax]
\[
A \times B=65
を満たす整数の組
(A,B)をすべて求めよ。
\]

これならばものすごく簡単ですよね。

65の約数を考えれば良いので、

[mathjax]
\[
(A, B) = \{ (1, 65), (5, 13), (13, 5), (65, 1), …,(-65, -1)\}
\]

A, Bが共に負の数になる(-1, -65)のようなペアが存在します。

ここまで理解できたのであれば中学生なら満点です。

場合分け

さて、ここまでで問題の条件を満たす(A, B)のペアが8通りあることは求められました。

ただし、実際に求めたいのは(a, b)のペアなのでそれを考えなければいけません。

ここで重要なのは整数(A, B)のすべてのペアから上手く整数(a, b)のペアがつくれるわけではないということです。

#A<0, B<0

A, Bのどちらも0以下ということはあり得るか考えてみます。

これがあり得なければA, Bが共に負である4通りについては考えなくて良くなるので、いきなり解の候補が半分減ります。

(A, B)=(-1, -65), (-5, -13), (-13, -5), (-65, -1)の4通りのこと。

こういう “大きく解の候補を減らせる条件” についてはなるべく早く成り立つか確かめてしまったほうが良いでしょう。

[mathjax]
\[
A=a-b<0 \\ B=a^2+ab+b^2<0 \]

元の式はこうだったので、Aが負の数になることは十分考えられますがBに関しては成り立つかちょっと怪しいですよね。

相加相乗平均を使って確かめる方法もありますが、手っ取り早いのは平方完成を利用することです。これならば中学生でも確かめられます。

[mathjax]
\[
B=a^2+ab+b^2=(a+\frac{1}{2}b)^2+\frac{3}{4}b^2<0 \]

このように全て二乗の形に変形するのがコツです。

何故なら、中学(実数)の範囲内では平方数は必ず0以上になるからです。

[mathjax]
\[
(a+\frac{1}{2}b)^2 > 0 \\
\frac{3}{4}b^2 >0 \\
なので、B>0である。
\]

よって、B<0はあり得ないので、この4通りについては考えなくて良いことがわかりました。

#A=1, B=65

これはつまり次の問題と意味することが同じです。

[mathjax]
\[
A=a-b=1 \\
B=a^2+ab+b^2=65 \\
を満たす整数a, bの組み合わせを求めよ。\\
\]

まず、aとbの差が1であることを利用して次のように置き換えます。

[mathjax]
\[
b=a-1とおく。
\]

このように置き換えるとa-b=1を満たしつつ、文字を1つ減らすことができます。

それをBに代入すると、

[mathjax]
\[
a^2+a(a-1)+(a-1)^2=65 \\
3a^2-3a=64 \\
a^2-a=\frac{64}{3}
\]

aは整数なので、この式を満たす(a, b)のペアはありません。

整数の二乗は必ず整数で、整数-整数が分数になることはないため。

よって、この場合は解が存在しないことがわかりました。

#A=5, B=13

先ほどと同様にbをaで置き換えて解くと、

[mathjax]
\[
a^2+a(a-5)+(a-5)^2=13 \\
3a^2-15a+12=0 \\
a^2-5a+4=0
(a-1)(a-4)=0
\]

よって、a=1, 4であることがわかりました。

つまり、

[mathjax]
\[
(a, b)= \{(1, -4), (4, -1)\}
\]

となります。

#A=13, B=5

同じように置き換えて解きます。

[mathjax]
\[
a^2+a(a-13)+(a-13)^2=5 \\
3a^2-39a+164=0 \\
\]

これが因数分解できるかは解の公式で確かめるしかありません。

高校生であれば判別式を知っているはずなので、それを使いましょう。

解の公式を使った場合でも根号の中が、

[mathjax]
\[
\sqrt{39^2-4\times 3 \times 164} = \sqrt{-447}
\]

負の数になることが見抜ければこの二次方程式を満たす解が(実数内で)ないことがわかります。

中学生は実数・複素数の概念がないので “根号の中が負の数だから解がない” という理解で十分です。

#A=65, B=1

見るからに解がなさそうですが、ちゃんと調べなければいけません。

[mathjax]
\[
a^2+a(a-65)+(a-65)^2=1 \\
3a^2-195a+4224=0 \\
a^2-65a+1408=0 \\
\]

これも解の公式で方程式の解を求めようとすると、

[mathjax]
\[
\sqrt{65^2-4\times 1408 } = \sqrt{-1407}
\]

となり、根号の中が負の数になったので解はありません。

ここまでをまとめると、A=5, B=13の場合のみ整数の範囲で(a, b)が求められました。

その時の解は(a, b)=(1, -4), (-4, 1)でした。

これ以外に解はないのでこれが答えになります。

まとめ

ちらっと問題を見かけたので解いてみました。

京都大学入試問題としかきいていなかったのですが、ひと目簡単すぎて「本当に京都大学か?」という疑問が脳内をよぎったのですが、文系の入試問題ということでなるほど納得でした。

しかし、文系ということを差し引いてもこの問題は簡単だと思います。

小問4つに分けて出題すれば解き切ってしまう中学生がいてもなんら不思議ではありませんね。

というか、うちのブログの読者で数学好きな人いなさそうなのに完全に自己満足な記事になっちゃいました。